同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
紀子は二人目を妊娠し、仕事を辞める方向で話し合っていると聞いた。
前のお子さんとあまり年が離れていないので、子育ても大変だし、里崎さんの行く支社へついていくなら、紀子が本社にいる限り別居となってしまう。悩んだ末の選択らしい。
私はそれでいいのではないかと助言した。ふたりが離れているなんて、想像も付かない。それくらいいつも息ぴったりで一緒にいるのだ。お子さんが出来てからはよりその色合いが濃くなった。見習うべき先輩夫婦だ。
「紗良。こっちこい」
「勝手に座ったらまずいんじゃないの?」
「お前、俺の婚約者なんだから、ここが定位置」
「……あのさ。ここは会社。家じゃないんだからね」
「じゃあ、あのふたりはなんでいつも隣同士なんだよ?」