同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 大和の顎をしゃくる斜め前には里崎さんと紀子が並んでいる。
 
 「だって、あの席は一応送別組で、紀子も内々だけどその予定じゃん。私もあっちへ行かないと」
 
 立ち上がった私の腕を引っ張って無理矢理自分の隣に再度座らせる。
 
 「いいからここにいろ。部長命令だ」
 
 はー。ため息しか出ない。同期で彼はこの春、一番早く部長になる。
 この間課長職で大阪から戻ったと思えば、またもや東京で社長賞を取ってしまい、出世頭となった。

 そしていつかきっと本部長にも負けないすごい人になると信じてる。

 橘君も表彰されていた。地方なのにすごいらしい。
 今度春に東京へ戻ってくるのだ。楽しみ。転籍するけど、同じビルだしまた会えるだろう。

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