同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
椎名はビールピッチャーを里崎から奪い、それを持って立ち上がった。
「里崎。頑張れよ。お前ならおそらく大和より管理職としては出世するだろう。この会社の中枢にまでいけるだろう」
「ありがとうございます。本部長もお元気で。失礼なこと言ってすみませんでした」
里崎は頭を下げた。
それを見た椎名は大和を見る。
「田村。お前は若手の出世頭だ。下のやつらの愚痴を率先して聞いてやれ。年が近いお前なら話せることもある。中間管理職だと思ってしっかりやれよ。それと……あいつを幸せにしてやってくれ」
大和は驚いて目を見張った。
里崎はピューと口笛を吹いた。
「かっこいいっすね。さすが椎名課長。大和はまだまだ追いつけないですよ」
大和は立ち上がると課長に頭を下げた。
「お世話になりました。あいつのプライベートは俺がもらいます。仕事は無理させないように見てやって下さい。よろしくお願いします」
椎名は大和に握手を求めた。ふたりはがっちり握手した。