同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
 
 紀子がウインクしてこちらを見る。
 お見通しか。さすが、里崎さんの奥様。
 
 「そう、大和が戻ってくるのが予定通りあと一年遅かったら私、椎名課長と付き合っていたと思う。でも、戻って来ちゃった。運命だったのかもしれない」
 
 「そうだね。運命だったんだよ。私とサトちゃんも運命だった」
 
 「ふふふ。ふたりは運命を考えている時間もないくらい、あっという間だったけどね」
 
 「そうでもないよ。これでも私は悩んだんだよ。とにかく押せ押せであんなに来る人初めてだし、それでいて大人っぽいところもあるし。答えは出てたけど、こんなにすぐでいいのかなって悩んでたの」
 
 「あの、里崎さんが紀子一筋になるんだから紀子はすごい魅力的なんだよ。私はそれを一番よく知ってる」
 
 紀子は笑う。
 
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