同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 「……そうだな。でも俺も大和が好きだぞ」
 
 大和が寝ていたのに急に目を開いて答えた。
 
 「嬉しいよー。里崎さーん、俺一生かけてこのご恩を返しますからね。紗良を取り戻せたのは里崎さんのお陰です」
 
 「そうかそうか。期待しないで待ってるよ」

 私が止めたタクシーに里崎さんは大和を押し込むと、笑顔で手を振って紀子と並んで見ている。
 
 「じゃあね、紗良」
 
 「うん。身体大切にして、紀子。里崎さんも……」
 
 「ああ。じゃあな」
 
 そう言って、タクシーのドアを閉めてくれた。

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