同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
 
 「そんなわけないだろ?お前じゃないんだから。俺は気が回るからな。吉崎を大切にしてるし……これだからお前みたいな気が回らない奴ではなく、俺にしろと言っているんだよ」

 本部長が言い返す。周りはびっくりしている。感情をあらわにすることない人だったのに、レアな状況だからだ。

 「あのですね。気が回らないとかどういうことですかね?これでも、俺は部長職ですよ。そんなわけないでしょ。紗良は俺の命綱ですからね。言われなくても大切にしてます」

 「じゃあ、なんでこんな風になるんだ?」

 「それこそ、こっちが聞きたいですよ!」

 「それは、ふたりのせいだろうな、間違いなく」

 振り向くと、そこにはロマンスグレイの男性が立っていた。
 後ろには眼鏡をかけた秘書の男性が書類を持って立っている。

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