同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
 
 「……大和、嫌い」

 そう言うと、立ち上がろうとしたとき、彼の足の間にがっしりと座らされて固定された。
 
 「……どんな気持ちだ?紗良?」
 
 「……ヒック。イヤ、もういい。嫌い」
 
 「映画の途中、お前が一生懸命合図したのを俺が無視したから?」

 びっくりした。
 分かっていてやるなんて本当に嫌い。
 
 振り向いて、彼を睨んだ。
 涙がこぼれる。

 にらみ続けられなくて、泣き出した。
 彼の身体に倒れ込んでしまった。

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