同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 「そうっすよ。必ず来年あっちに戻りまっす」
 
 「そうか、じゃ、頑張って見積り作れ」
 
 「……紗良先輩助けて下さいよー」
 
 「……課長。いじめないであげて下さい。すぐに課長の見積りから仕上げますから」
 
 私は後ろを向いて課長の顔を見上げた。

 彼は身をかがめて耳元で言う。
 
 「吉崎。飲みは俺の隣にいろよ」
 
 「……」
 
 それを見ていた同じく後輩の聡子ちゃんは、何も言わない。

 彼女は二年目。幹事の一人。

 つまり、席順の主導権を握っているわけだ。
 
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