私に愛を教えてよ





「こんなところ来たって、意味ないのに…。」




私は生徒会室の前に立っていた。
もちろん、中には誰もいない。


生徒会室で話した時のことが、遠い昔の出来事に感じる。


朝倉くんと両想いだと噂されてから、サッカー部の観客は少し減って、告白されることもほとんどなくなったらしい。


そのせいか、実糸くんの周りには今まで以上に女の子が群がってる気がする。


その光景を見る度に、住む世界が違う人だって思い知らされる。




────ふと、生徒会室の時計が目に入った。




「やば…っ!もう部活終わってる…!」




私は急いで階段を降りて教室に向かう。


6組の近くまで行くと、中から莉央達の話し声が聞こえてきた。


もうみんな来てたんだ………。





< 123 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop