私に愛を教えてよ
すると、静かに聞いていた朝倉くんは、突然私を抱き締めた。
「…ありがとう。わざわざそれ言いに来てくれたんだね。」
朝倉くんは私から離れると、優しく微笑んだ。
「でもね、俺はもう前に進んだんだよ。琉依ちゃんのお陰でね。」
「……それって、どういうこと?」
「実糸のこと好きだった気持ちは、過去になった。今は本当に友達として一緒にいるだけ。」
言われてみれば………
朝倉くんは実糸くんの話をする時も、苦しさを隠すような笑顔を見せなくなった。
「……そっか。でもなんで…私のお陰なの?」
「だって俺、琉依ちゃんのこと─────」
その時、バタバタと走る足音が近付いてきた。
私と朝倉くんは同時に顔を向ける。
「え………実糸くん………………。」
彼は険しい表情で、私達を交互に見る。
そして、その後ろには彼を追う1人の女子生徒がいた。
「ちょっ………実糸くん、待ってよ………!」