私に愛を教えてよ
「ごめん…。琉依ちゃんの気持ち考えずに突っ走った。」
違うんだよって伝えたくて首を振る。
すーっと息を深く吸い込み、私がようやく口を開こうとした時
「………ちょっと頭冷やすわ。」
ガラッとドアを開けると、美術室を出て行ってしまった。
取り残された私は、その場に座り込む。
ズルいよ…。
実糸くんだけ言いたいこと置いていって。
私、まだ涙なんて出るんだね。
家族ですら幼少期くらいしか見たことないというのに…。
(でもやっぱり俺は…琉依ちゃんが好き。)
思い出すだけで胸が熱くなる。
苗字も知らなかった私を好きだと言う彼を、信じることができなかった。
でも、今は………信じたい。
私は両頬をパチンと叩くと、「よしっ」と気合いを入れ直して教室に戻った。