私に愛を教えてよ
「じゃあ、私そろそろ…」と言って伝票に手を伸ばすと彼は素早く取り上げる。
「琉依ちゃんの前ではカッコつけさせてよ」
「えっ…。いや、ちょっと………まっ……!」
彼はスタスタとレジに向かい、私のお会計も済 ませてしまった。鞄を持って急いで追いかける。
「あの……ありがとう。…ご馳走様でした。」
「そんな顔しないで?デート代なんて最初から全部出すつもりで誘ってるから。」
借りを作るみたいで抵抗があったけど、彼は貸しだと思っていないことは伝わってきた。
「それより俺、一緒にゲーセン行きたい。なんか放課後デートっぽくない?」
「……………いいよ。」
私の返事に「よっしゃ!」と喜びを表現する。
さっきまで一刻も早く帰りたいと思っていたけど、事情が変わった。
もう少し彼に付き合うことにする。
なんか食い逃げみたいな気分になるし。