私に愛を教えてよ





ボールはゴールドのジャックポットに収まり、大量のメダルが降り注ぐ。


私はあの時─────何を願ったんだろう。




「実糸くんの勝ちだね。」


「あれ?てっきり嫌な顔されるかと思った。」


「まさか本当に入るとは思わなかったけど、賭けは賭けだからね。」




最後の最後で負けたのに、悔しいとは思わなかった。別に嬉しくもないけど。




「俺もう今年の運、全部使った。」


「お気の毒に。じゃあ、QRどーぞ。」


「ありがとう。早速今日から連絡する。」


「電話は嫌い。メッセージだけならいいよ。」


「分かった、電話はしない。メッセージだけでもすげえ嬉しい。…………え、今、笑うところあった?笑」




たかが連絡先交換、やり取りはメッセージだけ。それなのにあまりにも喜ぶからおかしくなってきた。




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