私に愛を教えてよ
彼の名前を耳にしただけで動揺したのが自分でも分かった。
「実糸くんは……………」
真っ直ぐで優しくて暖かい人なのは分かってる。けど、朝倉先輩と違うところ………
それは───────────
「近付くのが怖いです、凄く。」
朝倉先輩は驚いた表情を見せたけど、すぐに考え事を始めた。
「実糸は、琉依ちゃんを傷つけるようなことは絶対しないはずなんだけど………。」
「何もされてませんよ。私が勝手に、実糸くんから逃げてるだけです。」
「それは………どうして?」
「私のペースを簡単に乱せるような人、初めてなんです。だから…本能的に避けて過ごしたいのかもしれません。」
朝倉先輩は一つ一つ丁寧に私の気持ちを聞いてくれる。その優しさに、今は少しだけ甘えられてるような気がする。