私に愛を教えてよ
学校に近付くにつれて、私の足は前へ前へと進んでいく。
しかし、校門の前にも彼はいなかった。
何でわざわざ走って来たんだろう。
私、馬鹿みたいじゃん。
一応携帯を見てみるけど、誰からの連絡も入っていなかった。
もう何も無かったことになったのかな。
また平凡な高校生活に戻れるんだね。
……………………よかった。
いつもより早く学校に着いたせいで、まだグランドでは朝練をしていた。
サッカー部の方に行くと、他にも女子生徒が何人か見に来ている。
その視線の先にはやっぱり朝倉くんがいた。
モテ方がアイドル並だな…。
朝倉くんは私が見ていることに気付いてニコッと微笑み、一瞬手を挙げてくれた。
私は誰にも見られてないことを確認してから、小さく手を振り返した。