【SS】人食いの森

始まり



私は顔が整っているらしい。

パパもママも、よく美人と言われている。


でも私は、自分の顔が嫌いだ。




「ルゥ、ルゥー?」


「ウォフ」




森の中に入って呼びかければ、オオカミが姿を現す。

彼は、私を顔で判断しない唯一の友達。




「今日はおそくなってごめんね。また告白されちゃって……話したこともないのに」




呟くように本音を吐けば、ルゥは顔を擦り寄せて慰めてくれた。

ごわごわした毛も、私にとっては何よりの癒し。




「ふふ、ありがとう……」




私の顔から、私の何が分かると言うのだろう。

そんなことを考えてばかりだから、人より獣と仲良くなるんだ。
< 11 / 20 >

この作品をシェア

pagetop