【SS】人食いの森
始まり
私は顔が整っているらしい。
パパもママも、よく美人と言われている。
でも私は、自分の顔が嫌いだ。
「ルゥ、ルゥー?」
「ウォフ」
森の中に入って呼びかければ、オオカミが姿を現す。
彼は、私を顔で判断しない唯一の友達。
「今日はおそくなってごめんね。また告白されちゃって……話したこともないのに」
呟くように本音を吐けば、ルゥは顔を擦り寄せて慰めてくれた。
ごわごわした毛も、私にとっては何よりの癒し。
「ふふ、ありがとう……」
私の顔から、私の何が分かると言うのだろう。
そんなことを考えてばかりだから、人より獣と仲良くなるんだ。