【SS】人食いの森
「ウォフ」
「ふふっ、私達両想いね」
ルゥに頬を舐められて、大きな体を抱きしめた。
仄かに伝わる体温が心地良い。
ドクンドクンと、命の音が聞こえる。
……そんな風に、心が満たされている時だった。
ボカッ
「キャィンッ」
「ルゥっ!?」
「お嬢ちゃん、逃げろ! うおぉぉぉ!」
「えっ……?」
ルゥが悲鳴のような声をあげた。
傾いた体から、私の手が離れた。
音を立てて、大人の拳大の岩が近くの地面に落ちた。
木と木の間からおじさんが飛び出してきた。
おじさんが岩を拾って、ルゥを何回も何回も殴りつけていた。