【SS】人食いの森
「お嬢ちゃん、死んだとは言え、近付いたら危ないぞ!」
「し……ん……? る、ぅ……うごいて……うごいてよ、るぅ……!」
「お嬢ちゃん!」
「いやぁッ! なんでなぐったの! ルゥは私の友達だったのに! 死んだなんてうそだよね……? お願いルゥ、返事をして……っ!」
「は……?」
ぼろぼろと涙がこぼれる。
何回名前を呼んでも、体を揺さぶっても、ルゥは返事なんてしてくれなかった。
大きな体を抱きしめても、命の音は聞こえない。
心地よかった温もりも、どんどん冷めていく。
「お、俺は……た、助け、ようと……俺は……俺は……悪く、ねぇっ!」
私はルゥの体にしがみついて「あぁぁぁぁ!」と号哭を森の中に響かせた。