【SS】人食いの森
《ヴァウッ……キュゥン……》
「きゃっ……ルゥ……だいじょうぶ、私はだいじょうぶだよ……」
眠っていたルゥに触れようとして、威嚇される。
でもルゥは、その後苦しそうな目をして、私の顔をぺろぺろ舐めた。
もちろん、感触はないのだけど。
ずっと、幸せが続くことはないのだと……私達は、ずっと一緒にいられないのだと、お互いに分かっていたと思う。
そう……カウントダウンするように、終わりの時は迫っていたの。
《グルルル……》
獣は、人の容姿が分からない。
でもね、憎悪に囚われても私を判別してくれていたルゥは、やっぱり……。
《ヴァウッ》
――私の、最高の友達だよ。
[続]