【SS】人食いの森
――ヴァォォゥ……――
「ひっ……あ、あれは、なんなのっ!?」
《この森にすみついた亡れい……人間に殺されて、人間をうらんでるケモノ……》
「な、なにそれっ!」
《かれも、かわいそうな■■■■……でも、今は理性がないから……》
女の子は少し悲しそうに言うと、《もう少しよ……がんばって……》と僕を励ました。
僕はぐっと足に力を入れて、今までよりも速く動かす。
女の子と出会ってから、どれくらい走っただろう。
手を伸ばした先も見えない暗闇……そのはずなのに、前の方が明るくなってきた。
《わたしはこれ以上進めない……だから、あなた1人で走って……あの光に向かって、真っ直ぐ……》
「そんなっ、君はどうするの!?」