染まる紅葉
なんて言っているのか意識が遠のいて分からない。

ただその低くて心地の良い声で、小さい頃一緒に遊んでいた弟を思い出した。


4歳くらいの時だったから、名前も顔も覚えていない。

確か一歳違いの弟で、よく遊んでいた。


彼は私のことが大好きで、6歳になった頃求愛してきた。

私もそれに承諾して、ベタベタと触れ合っていた。



ところが両親が喧嘩したあの時に、離婚が決定。

私は父親に、弟は母親と暮らすことになった。

いわば離れ離れになったのだ。


それから時が流れ高校一年生になったわけで、彼はもう中学三年生だな。



中学生……?慎司……?



その言葉を考える前に、私はその場に倒れたまま意識を飛ばした。

視界が黒一色に覆われていく。





「姉さん。僕が埋めてあげるから。一緒に土に還ろうよ。自然に循環させたら人々の役にも立つし、一緒にあの世へ行けるね」
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