The Tricks Played by Destiny
感じることを諦めて、あたしは意識を目の前に戻した。


あの服もあたしのではない。
ピンクなんてあたしは来ていなかった。黒のワンピースだった。彼女が危険を犯してまで用意してくれた。

あの服を用意してくれたのも、狼がなにか知っているだろう。


さっきの頭の片隅に置いたことと今回のことを合わせて。

今度は聞こえるだろうなって、ちゃんと聞かせる意思をもってありがとうと囁いた。



「るせぇ、ぼけぇ」



案の定、怒鳴り声が返って来たからあたしは笑ってしまった。そのあと笑うなぼけぇっと怒られてしまったのだけど。
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