The Tricks Played by Destiny
タイミングよくドアをノックされ、顔を上げた。
少しずつ開かれる隙間から見えるのは先程の狼だろうとあたしは見当をつけ、頭の位置に視線をもってきたけれど。



「どこを見ている」



そこは人の身体しかなかった。

さっきの狼とは違う声にゆっくりと顔をあげると。



「綺麗な顔……」



美青年。
現陛下もお綺麗な御尊顔をしていらっしゃるというけれど、この人もものすごく綺麗な顔をしてる。
あたしが生きてきた中で、こんなに綺麗な人は初めてみる。

漆黒の髪に、同じく闇を秘めた瞳。
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