The Tricks Played by Destiny
部屋を出た、彼の気配は相変わらず読み取れない。
のに、急にドアから顔を覗かせた。

あたしにはその気配が読み取れない。
この土地がそうさせてるのか。はたまたあたしの力が弱まってるのか。それ以上にこの美青年がすごい人物なのか。

じっ、と考え事をしながら顔を見て固まっていたら。



「お前、何様のつもりか?俺を使いやがって」



怒りあらわに戻って来た美青年はさっきよりも拍車をかけて苛立ってる。


……あたしじゃなくて、そこの犬っころに文句を言ってよ。
呼び付けたのはあたしじゃない。

現実に引き戻され、口の悪い美青年を睨み返すとピリピリと張り詰めた緊張があたしに身動ぎさえも許さない。


敵、認定。
あたしはこいつと反りが合わない。
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