The Tricks Played by Destiny
「ったく、だから人間は面倒なんだよ」

「ちょっとぉ!担ぐなんてレディーに対する扱いじゃないでしょっ、あっもう!苦しいってば」

「暴れんな。おいコラ、レオお前何笑ってんだよ。お前が見付けたんだからお前がどうにかしろよ、この人間」



背中を有らん限りの力で殴っても、動じない奴に腹立つ。あたしの話を無視してレオと呼んだ狼と話し始めたのも許すまじ。

いやいや、話してるっていうか一方的に怒ってるだけのようにも見えるけれど。

狼はあたしの顔の下、つまり彼の後ろに回りすまんな、と謝る。


犬でさえ、気を使うことができるっていうのに!
それに比べてこの男はっ!
顔がいいからって調子乗るなよ。

あたしがどうにかして彼に逆襲してやろうと決意したとき、またも視界が回る。頭を思いきり揺さ振られたみたいでぐわんぐわんする。
衝撃はそれだけじゃなくて、お尻にも伝わった。ドスンと固い何かに下ろされたみたい。

揺れる視界に平衡器官が働いてないみたいで、ふらりと右に傾いていく。
あっ、と思う前にあたしはバランスを崩して倒れる寸前だった。

幸運なのは倒れる右側に彼が立っていたから。
彼が支えになってくれたみたいだ。
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