オタクが転生した結果

「テオドリック様！助けて！この人達が私を襲ってきたんです！」

そう言ってミュリエルがテオドリックに駆け寄った。さっき同じ事をして拘束されたのに、懲りてない所はさすがとしか言いようがない。

だがテオドリックに辿り着く前に、マルゲリット達が彼女を止める。

マ「あなた、本当に懲りないわね？」

エ「確かに、いっそ清々しい位だわ」

何を言われようともミュリエルには響かない。彼女にとってはヒロインが全てであり、正義なのだ。ヒロインが黒と言えば、白も黒になる。

「テオドリック様！お願いだから目を覚まして？この人達はそこにいるクリスティーヌ様の指示で動いているんです！あなたはその女に騙されているんですよ！？」

先程から続いているミュリエルの不可解な言動に困惑していたテオドリックであったが、明らかにクリスティーヌを貶めるこの発言に、彼は静かに激怒した。

テオドリックは転生者ではないが、マルゲリット達とは同じ沼に浸かる同類なのだ。

「君、名前は？」

「シャルロワ男爵家の一人娘、ミュリエルでございますわ～！」

(ああ！やっと王子が私を見てくれた！遂に私と王子の恋物語が始まるのね～！)

「シャルロワ卿の娘か、わかった、もう下がってよい。二度と私の前に姿を見せないように」

「へ？」

王子は激おこなのである。

(え？ちょっと待って？全然意味がわからない。どういう事？)

「私の愛するクリスティーヌを侮辱する君の言動に我慢ならないと言っているんだ。不愉快だから、早く私の視界から消えてくれないか？」

(な、、な、、)

「何言ってんの！？王子に愛されるのはヒロインの私でしょ！？何で悪役令嬢がそこにいんのよ！全部あんたのせいじゃない！どうしてくれんのよ！キーーーーー！！！」

何もかもがうまく行かず、怒りが限界突破した事でミュリエルはぶちギレ、マルゲリット達をなぎ払い、奇声を上げてクリスティーヌに襲い掛かった。

恐怖に震えるクリスティーヌは混乱していた。

(一体何が起こっているの？悪役令嬢って何の事？何故か聞き覚えがあるような、、ああ、、わからない、、混乱して頭がクラクラする、、)

気絶したクリスティーヌが再びテオドリックに抱き止められる。ミュリエルも同じく再び護衛に拘束された。暴れ狂う彼女はそのまま護衛に連れて行かれ、容赦なく地下牢に放り込まれたのだった。