オタクが転生した結果
遡る事2年前、クリスティーヌが5歳の時に、彼女に専属のメイドがつく事になった。メイドの名前はクロエ、クリスティーヌの3歳年上で8歳、メイド頭の娘である。専属メイドと言ってもまだ子供なので、実際はクリスティーヌの遊び相手だった。
「お嬢様、公爵令嬢たる者、お話の仕方には十分気を付けなくてはいけません。さあ、私の後に続いて!○○ですわ~、はい!」
「お嬢様には赤がお似合いです、濃い程にいい、間違いないです」
「お嬢様、ご令嬢の間で縦ロールが流行っているそうですよ」
「お嬢様はお顔が優し過ぎます、ちょっと化粧をしてみましょうか」
専属メイドによるこの地道なお嬢様教育の成果で、2年後、クリスティーヌは王宮をざわつかせる事となる。
お察しの通り、クロエは転生者。しかも、この物語の作者である女子高生、高島美咲だ。
事故に巻き込まれ死んでしまったのは悲しいが、転生できるとわかり、しかもその転生先に自分の小説が選ばれた事で、美咲は少なからず喜んでいた。
ところが、美咲以外の魂達が神に詰め寄り、彼女の小説をこれでもかと言う程にけなし始めたではないか。美咲はショックのあまり言葉を失う。
小説の出来が素晴らしいとは自分でも思っていない。だからと言って、何もそこまで言う必要はないじゃないかと憤りを覚えた。
そして美咲は考える。
(私だって本当はヒロインになって王子様とハッピーエンドを迎えたい。でも私には、この物語を面白い物に作り変える義務がある)
更に彼女は考えた。
(手を加えるとしたら、やはり悪役令嬢だろう。悪役令嬢のキャラを濃くすれば、きっと面白くなるはずだ)
こうして美咲は、貴族令嬢に転生したい気持ちをぐっと堪えて、クリスティーヌの専属メイドになる道を選んだ。
ただ残念な事に、美咲の想像力は限りなく乏しかった。
転生後、天使のように可愛らしい5歳のクリスティーヌを前にして、美咲は途方に暮れてしまう。
(こんな美少女を、キャラの濃い悪役令嬢に育てる方法なんて、私が知ってる訳ないじゃん、、)
だからと言って、何もしない訳にはいかない。それこそ無駄死に無駄転生になってしまう。
(キャラの濃い悪役令嬢か、、)
美咲の頭に丁度いいキャラクターが浮かんだ。
(そうだ!ニャロメ様っぽくなるように育成してみよう!)
ニャロメ様とは悪役令嬢キャラのバーチャルライバーで、小中学生にファンが多いらしい。かなり有名なので美咲も存在は知っているが、詳しくはない。
(スマホがあったらググれるのに、異世界、何気に不便だわー)
クリスティーヌ悪役令嬢化計画は、こんな中途半端な感じで、じわっとスタートしていたのだった。
「お嬢様、公爵令嬢たる者、お話の仕方には十分気を付けなくてはいけません。さあ、私の後に続いて!○○ですわ~、はい!」
「お嬢様には赤がお似合いです、濃い程にいい、間違いないです」
「お嬢様、ご令嬢の間で縦ロールが流行っているそうですよ」
「お嬢様はお顔が優し過ぎます、ちょっと化粧をしてみましょうか」
専属メイドによるこの地道なお嬢様教育の成果で、2年後、クリスティーヌは王宮をざわつかせる事となる。
お察しの通り、クロエは転生者。しかも、この物語の作者である女子高生、高島美咲だ。
事故に巻き込まれ死んでしまったのは悲しいが、転生できるとわかり、しかもその転生先に自分の小説が選ばれた事で、美咲は少なからず喜んでいた。
ところが、美咲以外の魂達が神に詰め寄り、彼女の小説をこれでもかと言う程にけなし始めたではないか。美咲はショックのあまり言葉を失う。
小説の出来が素晴らしいとは自分でも思っていない。だからと言って、何もそこまで言う必要はないじゃないかと憤りを覚えた。
そして美咲は考える。
(私だって本当はヒロインになって王子様とハッピーエンドを迎えたい。でも私には、この物語を面白い物に作り変える義務がある)
更に彼女は考えた。
(手を加えるとしたら、やはり悪役令嬢だろう。悪役令嬢のキャラを濃くすれば、きっと面白くなるはずだ)
こうして美咲は、貴族令嬢に転生したい気持ちをぐっと堪えて、クリスティーヌの専属メイドになる道を選んだ。
ただ残念な事に、美咲の想像力は限りなく乏しかった。
転生後、天使のように可愛らしい5歳のクリスティーヌを前にして、美咲は途方に暮れてしまう。
(こんな美少女を、キャラの濃い悪役令嬢に育てる方法なんて、私が知ってる訳ないじゃん、、)
だからと言って、何もしない訳にはいかない。それこそ無駄死に無駄転生になってしまう。
(キャラの濃い悪役令嬢か、、)
美咲の頭に丁度いいキャラクターが浮かんだ。
(そうだ!ニャロメ様っぽくなるように育成してみよう!)
ニャロメ様とは悪役令嬢キャラのバーチャルライバーで、小中学生にファンが多いらしい。かなり有名なので美咲も存在は知っているが、詳しくはない。
(スマホがあったらググれるのに、異世界、何気に不便だわー)
クリスティーヌ悪役令嬢化計画は、こんな中途半端な感じで、じわっとスタートしていたのだった。