オタクが転生した結果
テラスに移動した令嬢達は、何とも微妙な空気の中、お茶会をスタートさせた。

「あ、改めまして、わたくし、、クリスティーヌ・ルヴェリエ、、で、、ゴザイマスワ、、」

完全に自信を喪失したクリスティーヌが、下を向いてモジモジと自己紹介をした。まずは今日のホストであるクリスティーヌが話さねば、お茶会が始まらない。

「ク、クリスティーヌとお呼び下さい、、マセ、、?」

クリスティーヌの方が年は下だが身分は高い。既にファーストネームで呼ばれていた気がするが、念の為に許可を出しておく。クリスティーヌはこれでも一応、淑女としての教育を受けてはいるのだ。

「ラマディエ侯爵家の次女、マルゲリットと申します。10歳なので年は上ですが、クリスティーヌ様とははとこ同士になります、仲良くしましょうね」

最早説明は不要だろう。マルゲリットは転生者である。

元の名前は早川真理(はやかわまり)29歳。OLをしながらTL漫画を描いていた。ストーリー重視の作風はエロが少なめで、TL好きには物足りなさがある為、あまり人気は出なかった。

つまらな過ぎる小説に転生すると聞かされた時、彼女は思った。

(私はこの物語を面白くする為にTL漫画を描き続けていたのかもしれない、、これは運命だ)

真理にストーリー展開を任せるのは危険だ。この物語は、全年齢対象なのである。

「ドゥラノワ伯爵家長女のエメリーヌと申します。私も10歳で、マルゲリット様とは5歳の頃から仲良くさせてもらってます。よろしくお願いしますね」

もちろん、エメリーヌも転生者だ。

名前は江口実日子(えぐちみかこ)24歳。保育士。TL、BL、百合、、何でもこいの雑食系。自分で創作はしないものの、妄想するのが大好き過ぎて、生活に支障が出るタイプである。唯一の地雷がロリショタ、、故の保育士。

(妄想が現実になる時がやってきた。保育士以上の天職キタコレ)

妄想に不可能はない。ある意味、実日子は真理以上の危険人物である。大切な事なので、もう一度繰り返しておこう。この物語は、全年齢対象だ。
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