オタクが転生した結果
「フォンテーヌ伯爵家長女、ジゼルです。年はクリスティーヌ様と同じで8歳です。今日はお招き頂きありがとうございます」

当然ジゼルも転生者。

彼女は田辺愛実(たなべまなみ)20歳。女子大生。転生令嬢物が大好物で、多くの作品を読み漁り、自分も趣味で小説を書いたりしていた。

(何この駄作、私の小説の方が絶対面白い。誰の作品だか知らんけど、私の実力を見せつけてやるわ!)

4人目の転生者にして、ようやくまともなストーリー展開を目指してくれそうな人との出会いである。

ホッとした所で、話を本筋に戻そう。

黙って3人の自己紹介に耳を傾けていたクリスティーヌは、相変わらず戸惑っていた。

(あら?意外と普通だわ?さっきは少し怖く感じたけれど、わたくしの勘違いだったのかしら?でも(けな)されたのは確かだし、、どうしましょう、、困ったわ、、)

そこでクリスティーヌはクロエの言葉を思い出す。

『公爵令嬢として、舐められたら一貫の終わりですよ!』

(そうだわ!わたくしは公爵令嬢ですのよ!こんな事位で怯んでなんかいられませんわ~)

クリスティーヌは勇気を振り絞って立ち上がった。そして、背筋を伸ばして声を張る。

「今日は来てくれてどうもありがとう。お礼にお友達になって差し上げても(ここで決めポーズ)よろしくってよ~」

沈黙が続く中、3人の視線がクリスティーヌに突き刺さる。ピクリとも動かない表情が何を意味するかわからず、動揺したクリスティーヌは固唾(かたず)を飲み込んだ。

(こ、この後、どうすればいいのかわかりませんわ~)

『困った時は笑って誤魔化せばいいんです。それで大概やり過ごせますから、きっと大丈夫』

クロエのアドバイスが脳裏を過り、藁にもすがる思いで実行に移す。

「オーホッホッホッホー」

ジ「もう本当無理、あり得ない。我慢の限界」

エ「ジゼル様、私も同じ気持ちですが、場をわきまえましょ?」

マ「クリスティーヌ様、少しお話があります。とりあえず座りましょうか?」

マルゲリットの笑っているようで笑っていない表情は、クリスティーヌの母が怒り狂ってる時のそれと同一の物だった。

(お、、怒られる。わたくし、これからもの凄く怒られてしまうのだわ。何故?わたくしの、何がそんなにいけなかったとおっしゃるの~)

頑張れクリスティーヌ、お茶会はまだ始まったばかりだ。
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