アタシはヒミコ
18年前・・・
サルタは二十歳になった日に、独りで狩りに出かけた。
熊笹の藪の中に隠れて獲物の猪を待っていると、一頭の大きな猪が大岩の上に現れ、天空を見上げて唸った。
サルタは威容な雰囲気を感じ、射るのを忘れて天空を見上げた。
薄曇りの中に太陽の輪郭がはっきりと見て取れたが、その右下の部分が欠けているのだ。
その部分が次第に大きくなりはじめると、ついに完全に太陽は隠れてしまった。
辺りはすっかり闇に包まれ、森に住む全ての生命が息を潜めた。
が…右下の部分から再び光が射してきて、少しずつ復元されると元の丸い輪郭の太陽に戻った。