23時のミャーの大冒険
「ヤバいな、いつのまにそんな技覚えたんだ?で帰りは?」

「帰りはエントランスで管理人さんに開けてもらって、部屋の前で鈴がなるから、私が部屋に入れてるんだけどね」

成程ね、と再びビーフシチューを食べ始めた俺を見ながら美弥が眉を下げた。

「ね、颯。私、ミャーが夜出て行くのがすごく心配なの。車に跳ねられたりしないかな、とか……」

(俺が夜中帰ってくるのももうちょい心配してほしいけどな)

俺はビーフシチューと共にミャーへのささやかな嫉妬を飲み込んだ。

「ま、たしかに女が出歩く時間じゃねぇよな」

あの愛くるしい瞳に、黒と白と茶が混ざった
きれいなコントラストの毛並みだ。

事故もだが、誘拐される恐れも十分にある。

「ん?颯?」

「え?何?なんか間違った?」

美弥が頬を膨らませた。

「もうっ、ミャーは男の子だよ」
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