23時のミャーの大冒険
「あー、ごめん。俺が悪かった、言いすぎた。ミャー一緒に探してやるから、泣き止めよ」

「……ひっく……ミャーどこにいるんだろ」

妊娠中ということもあるが、最近の美弥はやたら些細な事で泣くことが多い。

(元から泣き虫だけど……マタニティブルーとかいうやつか?てゆうか俺はミャーより下?ってことないよな)

俺は美弥をそっと抱きしめると、もう一度ミャーの寝床を見ながら小さくため息を吐き出した。

(厄介なことになったな)

「颯。ミャー、まさかこの家にいるの嫌なのかな……元々野良猫ちゃんだし……よく考えたら最近食欲もなかったし、なんかソワソワしてるし。あ!もしかしてご飯が口に合わないのかな?」

「は?わざわざ海外から取り寄せした超高級キャットフードだぞ!おまけに、かつおぶしかけたり、ささみふりかけかけてやったり飽きないように味変(あじへん)までしてやってんのにさ、そんなセレブ飯食ってるの日本の猫でミャーくらいだろっ」

「うーん……じゃあ、それかすこし前に颯が買ってきた赤い首輪が嫌とか?」
< 4 / 19 >

この作品をシェア

pagetop