キミと放送室。
「てか、いつまで座ってんの?」
「え」
「弁当食わないと昼休み終わるよ」
「あ!」
そうだ。まだお昼ご飯も食べてないんだった。
私はギターと教則本を元場所に戻して、「お邪魔しました」とスタジオに向かってお辞儀をした。
「メダカ」
スタジオ部屋を出ようとした私は、未だに馴染まないあだ名で呼び止められ振り返る。
「練習する?」
「え?」
「暇だし。明日からギター練習しよう」
「えっ?」
「でも昼寝もしたいし、メダカもやることあるだろうから」
「ちょ…ちょっと」
「音楽かけてから初めの15分だな」
「待っ…」
「じゃ、そういうことで。おやすみ」
一方的に話が進み一方的に話が終わった。
名波先輩はもうソファに寝転びお昼寝モードだ。
なんて自由な人なんだろう。
私が意見を言う間も無く勝手に話が進んでしまった。
「本当にやるのかな」
放送室の椅子に座り、ガラスの向こうで寝ている名波先輩を見つめながら首を傾げると、私はお弁当の卵焼きを口の中に放り込んだ。