キミと放送室。
5
放課後、帰る支度をしているとサッカー部のユニフォームを着た有島くんが教室に入ってきた。
「あれ?日高さんまだ居たんだ」
「今から帰るとこだよ。有島くんは部活?だよね」
「うん。でもスパイク忘れたから取りに来た」
有島くんは笑いながらそう言うと教室の後ろにあるロッカーを開けた。
「あったあった。あぶねー。危うくダッシュ50本やらされるとこだった」
ユニフォーム姿でふざけて笑う有島くんは、本当に爽やかだ。
突っ立ったままの私に
「…下駄箱まで一緒に行く?」
「え」
「俺、ちょっと汗くさいけど」
「そ、そんなことないよ」
私がブンブンと頭を振ると、有島くんは笑って「行こう」と歩き始めた。