キミと放送室。
「なんで隠れる?」
顔を覗き込まれ思わず逸らした。
「べつに隠れてるわけじゃ」
「ふーん。
なんかさ、メダカっていつもコソコソしてんね」
思いもよらないことを言われ、キョトンとする。
コソコソ…してるか?
「え?どこがですか?」
「えー。昼休み放送室立てこもってる」
「それは委員の仕事で…ていうか、名波先輩も同じですよね」
「いや、俺はちがう。俺は堂々と立てこもってる」
「なんですかそれ。意味分かんない」
私はそう言ってさっさと靴を履き替えると、「さよなら」と名波先輩に軽く頭を下げて挨拶をした。
わざとらしくよそよそしい私の態度に、名波先輩は少し笑った気もしたけれど、他の生徒の目が気になる私はそのまま早足で校門へ向かった。