キミと放送室。
「…どっちもです」
「なんで?」
先輩を見ると、真っ直ぐ私を見ている。
私の、心の奥深くを捉えているような、そんな眼差しだ。
「メダカはさ、何をそんなに卑屈になってんの?」
「え…」
「ギターに興味持って、練習し始めて。それって全然恥じることじゃないと思うんだけど」
「メダカがやんなかったら俺もギターとか絶対やんなかったし、この時間楽しいよ俺は」
名波先輩の言葉に、喉の奥がツンとなる。
「もう少し、自分に自信持ったら?」
名波先輩はそこまで言い終えると、何も言えないでいる私の膝上のギターを手に取り、弦を弾いた。
「…ま、この空間は俺も邪魔されたくないから悠平には口止めするけど」
そう言って涙を堪える私の頭に手を置いた先輩は、お昼休みが終わるまで寝ないで隣に座らせてくれた。