キミと放送室。
7
「栞ちゃーん!こっちだよー」
土曜日。
紗良に言われた待ち合わせ場所に行くと、既に紗良と有島くんが待っていた。
千春は部活で来れないって言ってた気がする。
「ごめんっ、お待たせ…」
休みの日に友達と出掛ける事なんてあまり無い。
紗良はオシャレだし、有島くんもいるから、何を着ていくか迷っていたら遅くなってしまった。
紗良は大人っぽい花柄のワンピースにカーディガンを羽織っていて、とても高校生には見えない。
有島くんはロンTにデニムというシンプルな格好だけれど、背も高いし爽やかだからサマになっている。
私は、というと。
「栞ちゃん!制服で来たのっ??」
最終的に着ていける服が決まらず、制服で来てしまった。
「うん…、何着れば良いかわかんなくて」
へへ、と頭に手をやると紗良は「もぉ、しょうがないなぁ」と言ってスマホで時間をチェックした。
「有島、まだライブまで時間あるし、ちょっとそこのファミレスで待ってて!」
「はっ?1人で?」
「そうだよー、栞ちゃんを私がもっとかわいくしてくる」
紗良がそう言うと、有島くんは私を見て「今のままでも全然良いと思うけど」と呟いてファミレスに入っていった。
「紗良、いいよこのままでも…」
「栞ちゃん。栞ちゃんはお肌もキレイだし、笑うと頬にエクボが出来て可愛いし、いつも前髪で表情見えないけどすごく素敵な女の子なんだよ」
いつになく紗良が真剣だ。
「いつも私のこと褒めてくれるけど、栞ちゃんだって魅力いっぱいなんだから」
「紗良…」
紗良がそんなことを思っていたなんて知らなかった。
「だから今日は、有島とか、悠平くんとか。栞ちゃんを見た人に、栞ちゃんの素敵なところをちゃんと知ってもらお?」
紗良は最後にに完璧なウインクを見せると、私の手を引いて歩き始めた。