キミと放送室。
着いたのは、徒歩15分くらいの場所にある紗良の家だった。
「栞ちゃん、どうぞどうぞ」
そう言って紗良が私のスリッパを出した。
「おじゃまします…」
「今日は家に誰もいないし、気を使わなくて大丈夫だよー、こっちこっち」
言われるがままに着いていくと「ここが私のお部屋」と紗良が扉を開けた。
「わぁ」
部屋にはメイク道具だけの机が1つあり、壁一面のオープンクローゼットには洋服が沢山かけてあり、まるでサロンだ。
サロンなんて行ったことはないけれど。
「友達を部屋に入れたことないんだけど、いつも一緒にいてくれる栞ちゃんは特別」
紗良はそう言うとクローゼットの洋服を物色し始めた。
「すごいたくさんあるね」
「えへへ。ほとんどお姉ちゃんのお古だよ」
クローゼットの中には、カジュアルからキレイ系までひと通りの洋服が並んでいる。
「栞ちゃんにはこの服が似合うと思うな」
選んでくれたのは手触りの良い春ニットと、ロングスカートだ。
「ほ、本当に借りて良いの??」
「いいよいいよぉ、メイクもしてあげる」
紗良はどこか楽しそうに私の服装を整え、メイクも派手になりすぎないようにナチュラルに仕上げてくれた。