キミと放送室。
「……からかうの、やめてください」
ジンジャエールのボタンを押した名波先輩の隣に立って、小さな声で言った。
「そんなこと言いにきたの?」
と言った名波先輩は、私の方を見ない。そして、
「こんなとこで喋ってたら、バレるよ。俺とメダカの関係」
と続けた。
「…関係って、変な言い方しないでください。別にやましいことしてないのに」
「じゃあ、なんで隠してんの?」
そう言うと、ようやく私を見た名波先輩。
「アイツに知られたくないから?」
そう言うとチラッと3人が待つ席に視線を配った。
アイツって、もしかして有島くんのこと?
本当に私が片思いしてると思っているのだろうか。
「ちが…」
「メダカのそういうとこ、いい加減ムカついてくるわ」
なんで、そんなこと…
「名波先輩こそっ
ギター弾けること、隠してましたよね」
私は持っていたコップをドリンクバーの机に勢いよく置いた。
「それは、」
「ヘタクソな私が練習してるの見て、面白かったですか?」
「メダカ」
また、名波先輩が私を変なあだ名で呼んだ時、「大丈夫?日高さん」と有島くんが心配そうな表情で私の肩をたたいた。