キミと放送室。
おまけ
15分経って、先輩が私からギターを回収して元の位置に立てかけた。
「おわりですか?」
「おわり。15分経ったし」
名波先輩は私の方に体を向けて座り直した。
つられて私もソファに正座をして向かい合う。
「5分…いや10分だけ俺にメダカの昼休みちょうだい」
真面目な顔でそう言った名波先輩に首を傾げつつも「いいですよ」と言うと、すぐに先輩は私を抱きしめた。
「せ、せんぱい」
強引な名波先輩に、保っていた正座はすぐに崩れてしまった。
少し体を離すと、両手で私の顔を包み込んだ名波先輩と、見つめ合う。
そして、ゆっくりと近づく気配に目を閉じた。
昨日よりも、少しだけ、大人びたキス。
ゆっくり角度を変えるたびに、心臓が飛び出そうなほどドキドキして、力が入らなくて、先輩の背中に手を回した。
「栞、10分経ったら止めてくんないと、俺の理性終わるんだけど」
きっと、おそらく10分くらい経った頃、名波先輩がそう言った。
「私は、もうあと3分したいです…」
私がそう言うと名波先輩はハハッと嬉しそうに笑って「鬼だな」と言った。
結局それから10分、ソファで過ごしたことは2人だけの秘密。
おわり