僕のお嬢
今年のゴールデンウィークは前半三連休、後半が四連休。ダーツの旅は後に残して、まずは身内のお墓参りツアーに三人で出かける。

おじいちゃんと、先立ったおばあちゃんが仲良く眠ってる霊園はやたら広くて、噴水があったり三重塔がそびえてたり。連れて来られた小さい子供達はだいたい、公園と勘違いして楽しそうだった。

管理事務所脇の売店で花を買い、見分けがつかない景色が一面に広がっていても、間違って迷うことはもうなくなった。

『深町家之墓』と彫られた真っ黒な墓石は、浮金石っていう、陽に当たると金をちりばめたみたいに輝く石で。おじいちゃんらしいチョイスだと思う。どこぞのエライ先生か極道しか選ばない、こーいうのは。

お墓参りに手ぶらで来るのは素人、花切りバサミと雑巾持参が玄人。これもまあ、都筑の受け売りだけどね。

新太もバケツ片手に手際よく、ヒシャクで水を流し、竿石から丁寧に拭き上げてく。あたしと都筑で花を活けたら、お線香を焚いて三人並んで手を合わせた。

「先代。お嬢には虫一匹近付けさせてないので、安心して下さいね」

黒服姿でしみじみ語ってる都筑。
< 11 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop