僕のお嬢
「もうオマエらの若頭じゃねーぞ?オレに絡むなよ、ガキ共」
乱れた襟元を払う仕草で溜息を吐き、気怠げに踵を返した男。
「都筑さん、いーんスか?やれっていうなら止めるっすけど」
「・・・やめときなさい、アンタじゃ腕一本も落とせないから」
今度はサバイバルナイフをちらつかせた弟分をたしなめる都筑。なんなら一番アブナイのは、このチャラ男だからね?里沙。
聴こえてるだろうに、余裕の背中を向けてる佐瀬にあたしは声を張った。
「お姐さんの店に顔くらい出しなよっ?元気だったって言っとくから!」
ひらひら振られた左手。
「あたしは、お嬢でもお嬢じゃなくても、なんにも変わんないから大丈夫っっ。あんたは狂犬なんかに戻っちゃダメだからねっ、外道に堕ちたら死んでも赦さないよ・・・っ」
ほっとけ。
見えないのにシニカルに笑った気がした。
乗り込んだ車を荒っぽく発進させ、あっという間に駐車場からいなくなる。こっちを振り返りもしないで、あの日みたいにあたし達を置き去りにして。
「ほんと、逃げ足速いんだから」
都筑が腰に手を当て、大きい息を吐いたのをあたしも釣られた。
「お義父さんにお願いしとく、佐瀬がバカな真似しませんよーにって」
「お嬢は甘いのよ」
とっくに恨んでもない。あたしを道連れにしなかったワケを今は分かってるから。
乱れた襟元を払う仕草で溜息を吐き、気怠げに踵を返した男。
「都筑さん、いーんスか?やれっていうなら止めるっすけど」
「・・・やめときなさい、アンタじゃ腕一本も落とせないから」
今度はサバイバルナイフをちらつかせた弟分をたしなめる都筑。なんなら一番アブナイのは、このチャラ男だからね?里沙。
聴こえてるだろうに、余裕の背中を向けてる佐瀬にあたしは声を張った。
「お姐さんの店に顔くらい出しなよっ?元気だったって言っとくから!」
ひらひら振られた左手。
「あたしは、お嬢でもお嬢じゃなくても、なんにも変わんないから大丈夫っっ。あんたは狂犬なんかに戻っちゃダメだからねっ、外道に堕ちたら死んでも赦さないよ・・・っ」
ほっとけ。
見えないのにシニカルに笑った気がした。
乗り込んだ車を荒っぽく発進させ、あっという間に駐車場からいなくなる。こっちを振り返りもしないで、あの日みたいにあたし達を置き去りにして。
「ほんと、逃げ足速いんだから」
都筑が腰に手を当て、大きい息を吐いたのをあたしも釣られた。
「お義父さんにお願いしとく、佐瀬がバカな真似しませんよーにって」
「お嬢は甘いのよ」
とっくに恨んでもない。あたしを道連れにしなかったワケを今は分かってるから。