僕のお嬢
ゴールデンウィーク明けの週末、いつもの居酒屋で里沙とお土産交換会を開催。

あたし達ルールでお土産代は三千円まで。じゃないと海外ブランドのお財布だのバッグを、温泉饅頭と同じレベルで渡す女がいるから。

ハワイの別荘でバカンスを楽しんだ里沙からは、アロハなTシャツを。あたしからはダーツの旅でゲットした信州の特産品を。

「わさび味の柿の種~、わー野沢菜漬けもある~」

お嬢様育ちなハズだけど、里沙の好みはわりと渋い。恋愛ドラマより時代劇が好きだし。

焼き鳥をメインに揚げ物やサラダをオーダーし、お互いに旅行中のハプニングや笑い話を披露しあう。佐瀬のことは胸に仕舞っといた。懐かしかったの一言で済めば簡単だけど、そうじゃないのが厄介で。未練はなくても複雑なんだよ、女心は。

「でねーマチコちゃん、パパの知り合いの人を紹介されちゃってぇ、結婚を前提にお付き合いするんだってー」

大して酔ってもない里沙が、鳥わさを美味しそうに食べながら脈略のない話を始めた。

「んー?誰と誰がするってー?」

「リサちゃんとセイヤさん?」

会話をさかのぼって頭ん中を整理する。

「・・・お見合いしたんだ?」

ピンポーン、と音で返事をした里沙は、妙に吹っ切れたような笑い顔を見せた。
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