僕のお嬢

「じゃあマチコちゃん、四月から総務に異動になるんだぁ」

きっちり定時で会社を出て、焼き鳥がおいしいいつもの居酒屋で、同学年の青山(あおやま)里沙(りさ)とニヶ月ぶりの女子会。深町のマチと貴子のコをくっ付け、あたしを『マチコちゃん』呼びする幼なじみ。

「総務のお局サマが寿退社になるらしくてさ。人手が足りないからお願いされた」

「今の課長がキライってずっと言ってたもんねー、よかったね～」

「またイチから仕事覚えるのも面倒だけど、あの“バカちょう”の下にいるよかマシ！」

喋り方はおっとりしてても、里沙は大手商社勤務で、英語も流暢なバイリンガルだ。通勤は私服で、パンツスタイルが多いあたしとは正反対、顔は癒やし系の可愛さでも、スーツが板についてるカッコイイ幼なじみ。

「あと二週間の我慢かと思うと、ご飯がおいしいのなんのって」

「よぉし、今夜はマチコちゃんを太らせる会～」

里沙はコロコロ笑って、メニューに手を伸ばした。