僕のお嬢
スマホに迎えが着いたメッセージが入り、会計を済ませてお店を出た。

春先とは言ってもまだまだ夜は肌寒い。ショート丈のダウンを羽織ったあたしは、コートの首許にストールを巻いた里沙と並んで、ちょっと先で路駐してる黒のミニバンに向かって歩き出す。

「お疲れッス、お嬢」

後ろのスライドドアが開くのを待って乗り込むと、運転席から振り返ったのは銀髪チャラ男の新太。

「あれ、都筑は?」

「野暮用っすかね?リサちゃん、おひさー」

「アラタ君だぁ、こんばんは~」

嬉しそうにふにゃふにゃ笑う、ほろ酔いの里沙。

あたしがいなかったら、とっくにこの節操ナシ小僧に喰われて、おしまい。なんだからね?
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