僕のお嬢
不意打ちすれば、新太はボロを出すと思った。運転席の真後ろで顔は見えなくても、気配は読めるから。本人を脅したって口を割らないに決まってる。

「あー、オレはお嬢を迎えに行けって言われただけっす」

笑ったけどトーンが少し下がった。なるほど。溜息を吐いた。

「どうせヤバイお使いでもしてんでしょ?」

図星。言葉に詰まった新太。

深町組は、国内で二大勢力って言われてる秋津(あきつ)組に属してた。その中でも会派があって、うちは六道(りくどう)会の組下、都筑を拾ってくれる“親”もそりゃいるはず。

あたしが言いたいのはね。

「汚れ仕事なんか、らしくないって言ってるんだけどね」

似合わないよ都筑には。
エプロンのが似合うよ。
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