僕のお嬢
ショートのあたしより綺麗に伸ばした髪をハーフアップにして、昔あたしが誕生日にあげた赤いエプロンつけて。楽しそうに料理してるあんたの方があたしは好き。

たまに『オカンか!』って関西風なツッコミ入れたくなるくらい、あれこれ心配症で世話好きなあんたが好き。

男だけど、女同士の親友みたいなあんたが好き。

「おじいちゃんも草葉の陰で泣いてるよ」

「それは、その、・・・っすけど」

真っ当な極道になれ。・・・が、おじいちゃんの口癖だった。都筑はそれを一番よく知ってるハズなのに。何だか悔しくてつい八つ当たり。

「ゴメン、今のナシ!」

しゅんとして口ごもった新太に笑って誤魔化し、外を流れる景色を見てるフリをした。

あたしは。ただ普通に笑ってたいだけだよ。もうお嬢でもなんでもないあたしを、お嬢って呼び続けるあんた達と。




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