都市夢ーとしむー
その2/ライバル、対峙す
ジュリは藤沼アオイを伴い、イズミたちの正面に立って、まずは数秒、イズミとは目で語りあった。
「影山課長、いつもお世話になっています」
「ああ、どうも」
広告会社の女性社員は慌てて挨拶をするが、ジュリは彼女の顔を振向きもせず不愛想に一言発した。
「…イズミ、しばらく。長期間、フランス出向ご苦労様だったわね。それと、飛び級昇進、おめでとう」
「ありがとう」
二人は笑顔でまずは無難な社交辞令を交わしているが、二人がライバルなのを承知している広告会社の女子社員は、思わすうつむき加減になっていた。
...
「そうだ、この際、紹介しておくわ。この子、業推企画の後輩で次期女性エース、藤沼アオイよ。…アオイ、紹介するまでもないけど、こちらが同期のライバル、清田イズミさん…」
「藤沼です。清田先輩、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ…」
”この子か…。ジュリお気に入りの子飼い、藤沼アオイって…”
少なくとも影山ジュリのイメージとは程遠いアオイの佇まいを、イズミは観察するかのような視線でチェックしていた。
「この藤沼は英語だけでなくフランス語と中国語も話せるわ。こっちのヘンネル折衝はこの子がエンジンになって、いずれウチと組ませるわ。今から承知しといて。Jリードレンの海外企業提携は何も1社って制限はないしね」
「そうね。だけど、こっちもこれからレールに乗せるとこだし、いちいち他の部署の折衝なんかに目を向けてる暇はないわ。業推のこと気にかける余裕もないし‥」
「…」
イズミの言葉はその場の空気を一気に凍らせた。
ジュリは気がつくと顔を紅潮させている…。
”清田さん、一歩も引かない気構えなのはわかるけど、ジュリ先輩に対しては何か異様な感じだわ。ひょっとして、清田さんはジュリさんのことを…”
アオイは二人のやり取りがピリピリを通り越した、どこか危険な対峙に映っていた。
そしてある予見も脳裏をかすめるのだった…。
ジュリは藤沼アオイを伴い、イズミたちの正面に立って、まずは数秒、イズミとは目で語りあった。
「影山課長、いつもお世話になっています」
「ああ、どうも」
広告会社の女性社員は慌てて挨拶をするが、ジュリは彼女の顔を振向きもせず不愛想に一言発した。
「…イズミ、しばらく。長期間、フランス出向ご苦労様だったわね。それと、飛び級昇進、おめでとう」
「ありがとう」
二人は笑顔でまずは無難な社交辞令を交わしているが、二人がライバルなのを承知している広告会社の女子社員は、思わすうつむき加減になっていた。
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「そうだ、この際、紹介しておくわ。この子、業推企画の後輩で次期女性エース、藤沼アオイよ。…アオイ、紹介するまでもないけど、こちらが同期のライバル、清田イズミさん…」
「藤沼です。清田先輩、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ…」
”この子か…。ジュリお気に入りの子飼い、藤沼アオイって…”
少なくとも影山ジュリのイメージとは程遠いアオイの佇まいを、イズミは観察するかのような視線でチェックしていた。
「この藤沼は英語だけでなくフランス語と中国語も話せるわ。こっちのヘンネル折衝はこの子がエンジンになって、いずれウチと組ませるわ。今から承知しといて。Jリードレンの海外企業提携は何も1社って制限はないしね」
「そうね。だけど、こっちもこれからレールに乗せるとこだし、いちいち他の部署の折衝なんかに目を向けてる暇はないわ。業推のこと気にかける余裕もないし‥」
「…」
イズミの言葉はその場の空気を一気に凍らせた。
ジュリは気がつくと顔を紅潮させている…。
”清田さん、一歩も引かない気構えなのはわかるけど、ジュリ先輩に対しては何か異様な感じだわ。ひょっとして、清田さんはジュリさんのことを…”
アオイは二人のやり取りがピリピリを通り越した、どこか危険な対峙に映っていた。
そしてある予見も脳裏をかすめるのだった…。