都市夢ーとしむー
その3/発火した憎念
”来た…。思わずイズミへの憎念を駆り立ててしまったら、来光だわ。とりあえず今はここまでよ”
「イズミ、やっぱりあなたは最高のライバルだわ。…今のうちにどう?」
ジュリは、はすでに来光により手の甲がやや隆起している右手をイズミに差し出した。
イズミはジュリの目を見つめ、数秒間をおいてから、彼女に手を握った。
”なに…、この心臓の鼓動のような脈打つ感触って…”
イズミは即座にジュリの手に宿る異物感を察した。
「…でも勘違いしないでね。私に取ってライバルは潰す対象以外の何物でもないから…」
「ええ、なら私もあなたに限って、その理屈実践するわ。あなた以上の情念を以って…」
「ああ、先輩、もう行かないと間に会いませんから…。清田先輩、これで失礼します…」
二人の異様な殺気を感じ取ったアオイは、ジュリに左ひじ辺りを軽く掴み、ジュリに訴えるような目線を向けた。
「じゃあ、イズミ、せっかく昇進ししたんだもの、体調だとか事故にはくれぐれも注意して頑張って」
「あなたもね、諸々とね」
二人は最後に火花を一輪散らした。
ジュリとアオイはまさに掛けるようにエントランスを出て行った。
...
「ふう‥。凄かったですね、今のお二人のやり取りは…」
広告会社の女性社員はこの間、瞬きを忘れて固まっていた。
ジュリとイズミの鬼気迫る舌戦に圧倒されて…。
「はは…、とんだお見苦しいところをお見せしちゃったわね。”このこと”、他には絶対口外NGよ、○○さん」
「はい!絶対言いません」
○○は両手で口を塞ぎ、イズミに宣誓した。
”今のは収穫だったわ。あの手…、ドクドクと脈打ってるだけじゃなく、光ってた。それにここから去る後ろ姿のジュリ、肩とか腰回しから蒸気みたいなものがモヤモヤって…。それってオーブとか?…しまった、動画撮っとけばよかったわ…”
かくて、女魔人リカに魂を打ったことが確実視される影山ジュリとの壮絶な対峙のひと幕は、LXビルの片隅でさりげなく挙行された…。
”さあ、今日は早上がりして、沢井さんに会うのよ。今日のことも伝えるわ!”
イズミのテンションはマックスに達していた。
”来た…。思わずイズミへの憎念を駆り立ててしまったら、来光だわ。とりあえず今はここまでよ”
「イズミ、やっぱりあなたは最高のライバルだわ。…今のうちにどう?」
ジュリは、はすでに来光により手の甲がやや隆起している右手をイズミに差し出した。
イズミはジュリの目を見つめ、数秒間をおいてから、彼女に手を握った。
”なに…、この心臓の鼓動のような脈打つ感触って…”
イズミは即座にジュリの手に宿る異物感を察した。
「…でも勘違いしないでね。私に取ってライバルは潰す対象以外の何物でもないから…」
「ええ、なら私もあなたに限って、その理屈実践するわ。あなた以上の情念を以って…」
「ああ、先輩、もう行かないと間に会いませんから…。清田先輩、これで失礼します…」
二人の異様な殺気を感じ取ったアオイは、ジュリに左ひじ辺りを軽く掴み、ジュリに訴えるような目線を向けた。
「じゃあ、イズミ、せっかく昇進ししたんだもの、体調だとか事故にはくれぐれも注意して頑張って」
「あなたもね、諸々とね」
二人は最後に火花を一輪散らした。
ジュリとアオイはまさに掛けるようにエントランスを出て行った。
...
「ふう‥。凄かったですね、今のお二人のやり取りは…」
広告会社の女性社員はこの間、瞬きを忘れて固まっていた。
ジュリとイズミの鬼気迫る舌戦に圧倒されて…。
「はは…、とんだお見苦しいところをお見せしちゃったわね。”このこと”、他には絶対口外NGよ、○○さん」
「はい!絶対言いません」
○○は両手で口を塞ぎ、イズミに宣誓した。
”今のは収穫だったわ。あの手…、ドクドクと脈打ってるだけじゃなく、光ってた。それにここから去る後ろ姿のジュリ、肩とか腰回しから蒸気みたいなものがモヤモヤって…。それってオーブとか?…しまった、動画撮っとけばよかったわ…”
かくて、女魔人リカに魂を打ったことが確実視される影山ジュリとの壮絶な対峙のひと幕は、LXビルの片隅でさりげなく挙行された…。
”さあ、今日は早上がりして、沢井さんに会うのよ。今日のことも伝えるわ!”
イズミのテンションはマックスに達していた。