都市夢ーとしむー
その6/巣喰いし処


「志田君、その為にも二人にはよく確認したいんだ。今の状況を…。後で話すがJリードレンという会社、そしてその周辺の本陣坂通りを中心としたS区の一部地区を、あの女は我々が生きる世界での”巣としての位置づけ”をしているように思える。…いろいろ聞かせてもらうが、大丈夫かい?」

「はい…!」(イズミ&慎也)

ここでは、沢井が二人に質問し、イズミと慎也が答えるという形をとり、実質的な元刑事・沢井による、言わば”聴取”は約30分弱に及んだ…。

...


”これは…。二人に会う前の想像をカンペキに超えてる…”

「日下…」

二人からの”聴取”を概ね済ませた沢井は、思わず隣の”相棒”に測った。

「ああ、まさか、ここまでとはな…。お前の見立て、正解かもな」

二人にコンセンサスは即だった。

”よし…、こうなれば、まずは清田イズミを救うためにも、Jリードレンだ。ここで核心まで踏み込んでやる…。それがすべての早道さ。浅間さん‥、アンタの力を120%活かせる材料を俺は手に入れる。その為にも、まずはこの俺に力を与えてくれ!”

...


沢井は日下に力強く相槌を打った。

「うむ…。清田さん、志田君、よく話してくれた。じゃあ、ここでこのホワイトボードに今君たちから断片的に聞いた”Jリードレン模様”を、俺の汚い字とつたない相関図で示す。その上で、さらに聞きたい。いいね?」

「はい!」(イズミ&慎也)

そして、5分強…。
沢井の手によって、Jリードレンの相関図はホワイトボードに描かれた。

「ここでの終始すべに人物は、この影山ジュリと見た」

”バシン…!”

沢井はそう宣言し、ボードにマジックペンを叩きつけた。
空気が一変した。

その何とも形容しがたい快音に、いつもひっそりとしている日下法律事務所の応接室は目を覚ましたかのようだった。





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